第65回ロンドン映画祭 プレス試写
10月11日
A Hero
2011年ベルリン三冠が忘れ難いアスガー・ファルハディ監督による凝った人間ドラマ。
ばれることはないだろうとごまかし、まんまとヒーローになった男が、世論を味方につける得に翻弄されながら、それによる犠牲にも気づいていく。緻密なストーリー展開にミステリーを説く面白さがありつつ、親と子の人情味あふれるドラマも楽しめる。
映画、イギリスのあれこれ by Yukari
第65回ロンドン映画祭 プレス試写
10月11日
A Hero
2011年ベルリン三冠が忘れ難いアスガー・ファルハディ監督による凝った人間ドラマ。
ばれることはないだろうとごまかし、まんまとヒーローになった男が、世論を味方につける得に翻弄されながら、それによる犠牲にも気づいていく。緻密なストーリー展開にミステリーを説く面白さがありつつ、親と子の人情味あふれるドラマも楽しめる。
第64回ロンドン映画祭 プレス試写
10月9日(金)
Never Gonna Snow Again
オンライン試写でタイトルとともにあった写真(公式サイトに出てます)が、主人公とおぼしき人のアップで、お相撲さんみたいな顔と思った。ごついような、むくむくしてるような。
イケメンというほどでもないアップの地味目写真、特に期待もせずに観たら、良かったんです、これが。
ごつむくの主人公は道具一式を担いで家々を巡るマッサージ師。お屋敷が並ぶ一帯で有閑マダム達に施術する。それぞれの家の内情に通じると同時に、マダム達に待ち望まれるようになっていく。
けっこう若い美人から、コテコテのおばさままで、ちょっとカリカチュアライズされたようなマダム達に、マッサージが上手いというより、特殊なパワーがありそうなマッサージ師。チェルノブイリでの幼少期や、誰かに追われているようなのもミステリアスさを増す。
ダーク、コミカル、不思議が上手い具合にかみあって、そのどれも壊さずに、余韻を残すエンディングも秀逸。
これは覚えとことチェックしたら、マウゴシュカ・シュモフスカ監督。ベルリン映画祭の会見で、何度か見てた。その何作かは、そこまで良いとも思わなかったけど、今度のはホームラン。
主演はアレック・ウトゴフ、ウクライナ出身のイギリス人だった。けっこう大作にも出てるし、イギリスのテレビにも出てた。見逃してたな。注目しとこう。
公式サイトhttps://www.the-match-factory.com/catalogue/films/sniegu-już-nigdy-nie-będzie.html
第64回ロンドン映画祭 プレス試写
10月8日(木)
Undine
主演のパウラ・ベーアが、ベルリン映画祭最優秀女優賞を受賞した映画。
不実な男に美人がふられる出だしに引き込まれる。美人の名前がタイトルにもなっているウンディーネ。ふられてすぐ、ウンディーネに恋する男が現れる。失恋の痛手を癒すのは次の恋、のはずだが…
恋する男を演じるのはフランツ・ロゴフスキ、2015年のコンペ作ヴィクトリアでいい味の脇役と思ったら、2018年には2本のコンペ作未来を乗り換えた男、希望の灯りの両方で主演、ベルリン映画祭ではお馴染みの顔になった。
そして、未来を乗り換えた男での相手役がベーアで、2度目のペアとなる。両作とも、ロゴフスキが恋に落ちる男、荒削りだけど純粋みたいな役によくはまってる。一方のベーアは、両作とも何か別のことに必死な間に恋されてるみたいな役。
さて、失恋後、一途に恋され、また、それに応えもするウンディーネ、だが、そのままするするハッピーエンドとはいかない。なぜ?という行動をとるウンディーネに、心の中でツッコミながら観てしまったら、水の精ウンディーネの物語をなぞった話だから、そうなっているのだった。
こちらの人なら、ウンディーネというタイトルだけで察するんだろうな、日本人に桃太郎がピンとくるように。教養の差が悲しい。
ネタバレOKという人は、水の精ウンディーネを調べてください。ネタバレが嫌な人でも、水の精ウンディーネを現代に置き換えた話というのは知って観た方が、変なツッコミをせずに済みます。
公式サイトhttp://undine.piffl-medien.de/
日本版サイトhttps://undine.ayapro.ne.jp/
第64回ロンドン映画祭 プレス試写
10月6日(火)
I Am Samuel
ケニア人ゲイ男性サミュエルのドキュメンタリー。
ベルリンで観た映画I am Michaelを思い出した。ドキュメンタリーではなく、ドラマ映画だったけど、実話が基だし。→元ゲイ活動家を描いた異色作とは?ジェームズ・フランコが語る
おのずと比較してしまうが、あちらの方が面白かった。なにせ、ゲイの人権活動家から一転してストレートのクリスチャンになった実在男性が主人公。実話自体が論議を呼んだものらしい。
別のタイトルにしたら、比較されずに済んだのに。でも、面白かったあちらを思い浮かべて観る人もいるかな。ゲイが認められないケニアでサミュエルを5年追ったということでは、頑張ってるけど。
公式サイトhttps://www.wearenotthemachine.com/projects/I-AM-SAMUEL
第63回ロンドン映画祭 プレス試写
10月1日(火)
By the Grace of God
聖職者による少年への性虐待を、大人になった被害者が告発しようとする物語。フランソワ・オゾン監督作でベルリン国際映画祭審査員賞受賞。
わたしはロランスが忘れがたいメルヴィル・プポー主演で、脇も演技派が固め、見応えのあるヒューマンドラマ。
日本でもグレース・オブ・ゴッド 告発の時として公開中。
公式サイトhttp://www.marsfilms.com/film/
思い出したのがMea Maxima Culpa: Silence in the House of God
優れた社会派ドキュメンタリーを撮り続けているアレックス・ギブニー監督作で、上の映画と同じく聖職者による性虐待、しかも被害者が聾唖少年。ドキュメンタリーだけに衝撃は今回のドラマ映画以上。
第63回ロンドン映画祭 プレス試写
9月23日(月)
Tremors
ハイロ・ブスタマンテ監督作。土着の風習が残るグアテマラの火山地帯を舞台にした火の山のマリア(原題Ixcanul)で、2015年ベルリン映画祭の印象的な受賞監督だった。
今回のは、もう少し町が舞台だけれど、やはり、グアテマラの地域性が色濃い。妻子がありながら最愛の男性との二重生活を送っている主人公が、保守的な一族の中で…
ブスタマンテ監督は、あともう1本、この回のロンドン映画祭に参加している。1年に2本の新作とは、すごい。
公式サイトhttps://www.filmmovement.com/temblores
24日 第68回ベルリン国際映画祭10日目
まだまだ上映もたくさんある本日は、授賞式の合間に邦画のプレスチケットが取れて、観る映画はそれが締めとなる。
インディペンデント賞授賞式
観れてたコンペからの受賞作は納得。それ以外からも結構よさそうなのがあったなあ。
わたしたちの家 清原惟監督ほかQ&A付き上映
凝った脚本にバッチリのロケーションでみせる。日本の新人監督達は凄いな。
金銀熊賞受賞者会見
よくぞ、この作品に金熊を!の意欲作、問題作、衝撃作Touch Me Notが受賞。いいぞ!審査員!
23日 第68回ベルリン国際映画祭9日目
Mug プレス試写
ヘヴィメタ好きの長髪男が主人公でコメディーっぽく始まるのが、次第にアイデンティティーや社会問題も絡んでくる。
In the Aisles プレス試写
巨大倉庫みたいな店舗で働きはじめた男の恋物語。タトゥーがいっぱいの体を制服で隠すようにして黙々と働く男、フォークリフトの操作ができるようになったら一人前とか、丁寧に描かれる仕事のディティールが良い。雲行きの怪しい恋の行方が気になるも、後ろ髪引かれつつ次の試写のため最後20分ほど残し出る。Transitでも主人公だったフランツ・ロゴウスキが主演。コンペ2作で主演ってすごいな、要注目俳優だ。
Blue Wind Blows Q&A付き上映(富名哲也監督、畠中美奈プロデューサー)
佐渡島を舞台にした可愛らしい兄と妹、その母(内田也哉子)の物語。演技初体験の島の子らしいけど、自然に名演しちゃう子供ってすごいな。内田裕也、也哉子親子共演。映画祭で唯一子供観客OKのジェネレーション部門なので、小学生がたくさん観てました。しっかり質問もしててお利巧。
Songwriter 記者会見(マレー・カミングス監督、エド・シーランほか)
前日試写したエド・シーラン・ドキュメンタリーの会見。記者層がいつもと違って、若くて可愛いお嬢さんが多かったけどファンってことはないよね?音楽誌の記者?
22日 第68回ベルリン国際映画祭8日目
Museum プレス試写
ガエル・ガルシア・ベルナル主演の博物館お宝泥棒のお話。父と息子の話に加えコメディーっぽいとこもある。
Touch Me Not プレス試写
ドキュメンタリーみたいなドラマ。親密さを求めて彷徨う女性、カウンセリング、セラピー、秘密クラブ………。きわどいシーンもあるけど、切実さがちゃんと伝わって興味本位では観られない。問題作と言われそうな映画。
Songwriter プレス試写
エド・シーランのドキュメンタリー。監督はエドのいとこにあたるマレー・カミングス。
21日 第68回ベルリン国際映画祭7日目
My Brouther’s Name Is Robert and He is an Idiot プレス試写
3時間近い作品、次の試写のため、最後は観られず。とっても近しい双子の男の子と女の子のお話。思春期の二人の近さが危ない感じもあるけど、どう終わったかなあ。
予兆 散歩する侵略者 プレス試写、記者会見(黒沢清監督)
ちょうどこの日、出演してる大杉漣さんの訃報が伝わり、驚く。
Unsane 記者会見(スティーブン・ソダーバーグ監督、ジョシュア・レナード)
予兆の会見と重なり、試写できず。もうすぐ公開だからイギリス帰ってから観ようかな。
あみこ 山中瑶子監督Q&A付き上映
20歳の監督さん、勢いある。高校生を等身大で描けるのも歳近いせいか。