Posts Tagged 'Another Year'

1年を経て並ぶ作品

テレビでLIFE IN A DAYを見た。

音楽もいいし、映像もきれい。最後に、ちゃんと締めに似つかわしい言葉を言う人のクリップで終わってるのも感心。寄せ集め映像とはいえ、編集や映像処理とかに、すごく手間かかってそう。完璧主義者ともいわれるリドリー・スコットがプロデュースに加わってる。今年の1月プレミアで、もうテレビ放映とは早い。ドラマ作品ではないから、そんなものかな。

そういえば、日本での公開時期にあわせ、一命、すぐあとに家族の庭という順番でのご紹介となったロンドン発 俳優・映画情報一命は、この10月のロンドン映画祭の試写だったので、見たてホヤホヤを書いたのに対し、家族の庭は、前回の同じ映画祭での試写(その時は原題Another Yearで記載)だったから、ちょうど1年前。今年の映画祭の熱もさめやらぬうちに、昨年の映画祭を懐かしむような、変な感慨にひたってしまった。1年経つのはあっという間なのに、1年前に起こったことが、すごく昔のことのような気がするのが不思議。

なんちゃってアメリカ文化圏、日本

ベルリンで、何書いてあるかわからないままペラペラめくってみた雑誌に、公開映画の星取表を発見。

このブログでも10月のロンドン映画祭からお勧めとしてあげた英国王のスピーチAnother Yearがしっかり5ツ星なのは、納得のいくところで、うれしいけど、ザヴィエル・ドランの監督デビュー作I killed my motherも同じく5ツ星だったのにはオオッと喜ぶ。勢いつけなくても、ちゃんといいものが作れるという意味で昨年のロンドン映画祭で見た2作目も評価するけど、やっぱり、デビュー作は勢いがあって力も入ってて凄い。ふーむ、ドイツで公開なんだ。

英国王のスピーチAnother Yearは、イギリス映画だから、もうイギリスでは公開済みだけど、カナダ映画のI killed my motherは、イギリスに先駆けての一般公開。フランス語の映画だし、カンヌでお披露目されたから、フランス経由っぽい。ドイツはイギリス、フランスどっちからも情報やら映画やら入ってくるんだろうな。EUというかヨーロッパ圏というか、そういう文化圏。

日本って、洋画に関しては、ほぼアメリカ圏と、イギリスに住むようになって気がついた。アメリカでの評判、人気、話題がそのまま輸入されて、その通り評判になって人気や話題になってるふう。イギリス映画でさえ、アメリカで評判になって初めて日本でも注目してもらえるアメリカ経由が多い。アメリカにいるたくさんの我が同胞たちが、がんばって情報を送り続けてくれていることも大きいだろう。大金かけて世界で大宣伝するハリウッド・システムが効いてる国ということもありそう。

ドイツで感じた映画のヨーロッパ文化圏的な雰囲気とは別で、地理的、文化的に自然にそうなってるのではなく、人為的な日本のアメリカ文化圏っぽさ。なんちゃってアメリカ文化圏とでもいいましょうか。

決して理想を下げない女性

昨晩、BBCのTV番組にマイク・リー監督が出演。新作Another Year/アナザー・イヤー(公式サイトAnother Year – Film4)について話してた。

ロンドン映画祭の会見の際と、ほぼ同じ雰囲気で同じようなことを言ってたけど、いつもながら、あいまいにせず、しっかりとピンポイントで話すのが小気味いい。

今までの作品を振り返りつつだった。そういえばヴェラ・ドレイクHappy-Go-Luckyと女性主人公が続いてたんだ。続いてのアナザー・イヤーで結婚してる女性と、独身女性を対比させたわけだ。

どちらも仕事を持っている主人公の老夫婦、お互いの世界を尊重しつつ、あうんの呼吸で自然に寄り添っているのと対照的に、その友人の独身男女の侘しさが痛いくらいに描かれるアナザー・イヤー

定年目前で、その後の1人きりの人生がうまくプランできず、なんとかその女性とくっつこうとする、深酒になりがちなオーバーウェイト気味の男性。

その男性とくっつけば万事丸く納まりそうなところなのに、あくまで高望み(と本人は思っていない)をやめずに、無理目の相手にモーションかけ続ける女性。

そうなんだよね。女性は歳をとるにつれ、理想像のレベルが下がらないどころか、目が肥えていく分だけ上がっていったりするんだよね。女としての価値は、若くないということで下がって見られることが多いのに。ジレンマだよな。

ロンドン映画祭からのお勧め作品その2

50くらい見たと思うロンドン映画祭参加の新作の中から、よかったものをあげてみる昨日の続き。

 

傑作 Another Year/アナザー・イヤー(原題)

公式サイトAnother Year – Film4

ビートルズ派それともストーンズ派?みたいに、イギリスではローチ派それともリー派?ということも言われる2大巨匠。うーむ、どっちも好きだけど、今年の参加作2本に限っていえば、ケン・ローチ監督のRoute Irishよりマイク・リー監督のこっち。サラリとユーモラスに人生の深みを垣間見せる手際が見事。

男性なのに、いつも女性をリアルに描いてみせるリー監督だけど、この映画の初老を迎えようかという独身女性には、まいった。そうそう、女の人ってそうなんだよなーって、悲しくなるくらい。演じるレスリー・マンヴィルも助演女優賞をあげたいくらい上手い。

 

すごい新人 The Arbor/ジ・アーバー(原題)

公式サイトArtangel | Clio Barnard: The Arbor

典型的と呼びたいようなワーキングクラスの家からでて、結婚せずに最初の子を産みパブ通い、死んだのもパブという人生を歩んだ作家アンドレア・ダンバーを、新人のクライオ・バーナード監督が新しい手法で見せる。

ダンバーの家の近所らしい住宅地の野原にリビングセット置いて、そこで一家の物語が進み、それをご近所さんたちが囲んで見てたりする。それが関係者が話すドキュメンタリー部分(と見せて、役者さんだったりする部分もあり)と組み合わされると、両方のリアリティが増して見える。新しい試みをいろいろしてて、はずしてないというのが、すごい新人監督。

 

胸が痛むロストラブストーリー Blue Valentine/ブルー・ヴァレンタイン(原題)

公式サイトBLUE VALENTINE – Official Movie Website

ライアン・ゴズリングの歌とウクレレ(バンジョーかも?)にあわせて、ミシェル・ウィリアムズが路上でちょっと踊るシーンは、出会いの頃のカップルの可愛いシーン1番をあげたいくらいにいい。

そんなにいいカップルなのに、歯車がずれていく(これも生々しく描かれててグッド)のは、あまりに残念で、変わってしまった方、というか、本性(トラウマ?)が出てきた方のミシェル・ウィリアムズに腹立ちさえ覚えてしまった。これ見た人は、きっと、そりゃないぜミシェルと思うはず。

その後にインタビューしたデレク・シアンフランス監督が、映画中の結婚後のゴズリングに似てる気がした。ヘアスタイルとかヒゲとかタトゥーとか、ほぼ同じだったような。自分をモデルにした?夫に共感させるように描かれてるのはそれが理由?

でも構想から今までに結婚して子どもを持ったとは言ってたけど、離婚は言ってなかったし、両親の離婚が動機の1つとも言ってたから、お父さんがモデルで自分もお父さんに似てるだけ?いずれにしても、男性監督が男性側に有利?に作ってる気もする。でも、とってもいいラブストーリー、正確にはロストラブストーリーになるかな、だけど。

美人ジャーナリスト

ロンドン映画祭で、試写+会見と別の会見。

Miral/ミラル(原題)

公式サイトhttp://www.premiere.fr/Cinema/Miral

映画で描かれたイスラエルの現状もすごいけど、原作者で脚本のルーラ・ジュブリアールという女性がゴージャスなのにもびっくり。イタリアで活躍してるイスラエルのジャーナリストらしい。イタリア美人という雰囲気。

映画は悪くなかったけど、ウィレム・デフォーがこれだけ?という感じの役。最初だけちょこっとで、大筋にはあんまり関係ない役。ヴァネッサ・レッドグレイヴもそういう感じでちょっぴりだけど、そっちは納得できたのに、デフォーに?なのは、現役感の違いか。73歳のレッドグレイヴは顔がおがめれば充分だけど、55歳のデフォーには、もっと期待してしまう。

もう1つの会見は14日に見て感想を書いてるAnother Year。マイク・リー監督渋いっす。

コミック・リリーフ後にマイク・リーのリアルな一人身初老女

ロンドン映画祭試写

 

Africa United/アフリカ・ユナイテッド(原題)

公式サイトAfrica United

毎年、数十億円を集めるイギリスのチャリティ、コミック・リリーフ参加映画。企業の協賛も多く、いつものお菓子がコミック・リリーフ用パッケージで出たりして、チャリティのお金集めは上手いと思うイギリス。映画の方は、お子様と安心して楽しめそうな軽めの仕上がり。会見のアフリカの子どもたち、しゃべるの苦手そうな子もいて可愛かった。

 

Another Year/アナザー・イヤー(原題)

公式サイトAnother Year – Film4

イタいぞ、これは。いや映画の出来じゃなく、一人身の女性にとって。いつまでも高望みしてると寂しい老後になりますよ、というメッセージを感じてしまう。曲解してるのかもしれないが。

映画自体は、渋い俳優陣もそろい、日常を丁寧にすくって人生を感じさせるマイク・リー監督の持ち味をたっぷり味わえる。佳品と言ってもいいと思う。だが、1人暮らしの初老になろうかという女の寂しさが、すごくリアルなうえ、淡々と終わってしまうことで、よけい際立つ。けっこう笑えるシーンもあって、サラリと見せてるけど。

こないだのBlue Valentineの、現実的で、ちゃっかりしてて、つらいときには頼るくせに、余裕ができたとたんキョロキョロする、ミシェル・ウィリアムズが演じた妻役に続いて、女性のあまり見たくない面をつきつけられた気がする。


映画ニュース/インタビュー

シネマトゥデイに書いている映画ニュース/インタビューはYahoo Japanなどに配信されています。

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