Posts Tagged 'マイク・リー'

巨匠の隣で観た The Two Popes

第63回ロンドン映画祭

10月8日(火)

The Two Popes  一般上映

日本でも2人のローマ教皇として公開で記事にできました。

アクション多めでみんなでワイワイできる映画は劇場で、じっくり楽しみたい映画は家で…変わりつつある映画鑑賞スタイルの二極化

さて、このフェルナンド・メイレレス監督映画、スケジュールが合わず、プレス試写できなかったので、一般上映で観たら、隣の席がマイク・リー監督だった。巨匠はお一人でいらしていた。

上の記事中でも書いているように、意外に軽みもあって、笑えるシーンも多いのだが、リー監督、ニコリともせず、食い入るように鑑賞されていた。

今年65歳になるメイレレス監督は、77歳になったリー監督の一回り年下だ。もちろん、リー監督がイギリスの巨匠なら、優れた作品を連発してきたメイレレス監督だってブラジルの巨匠かもしれない。それでも、リー監督から見たら、だいぶ後輩の作品、しかも半分コメディーにもなってる映画を、あそこまで深刻、真剣に観るとは。ますます尊敬。

公式サイトhttps://www.netflix.com/gb/title/80174451

悲惨な物語3本

第62回ロンドン映画祭試写

2018年10月17日

Peterloo

巨匠マイク・リー監督にしては並の出来だけど、実際にあったピータールーの虐殺を知らせる意義はある。ピータールー マンチェスターの悲劇として公開中。

Capernaum

出生届さえ出してもらえず過酷な暮らしを強いられる男の子の物語。小柄で目の大きな主人公がいたいけで泣かせる。存在のない子供たちとして公開中。

Birds of Passage

ワユー族の家族が、ドラッグの売買で繁栄から破滅するまでの物語。民族色とバイオレンスの組み合わせで独特の雰囲気出してる。
公式サイトhttps://www.birdsofpassage.film

トプシー・ターヴィー

昨晩、ロンドン・フィルム・スクールでマイク・リー監督Q&Aつき上映。

イギリスではとっくに公開された昔の映画をなぜ今やるかというと、映画の主人公ギルバート&サリヴァンの作品であるペンザンスの海賊をリー監督が上演するから。

トプシー・ターヴィーはリー作品の中でも大きい意味を持つ作品。日本ではテレビで放映されたきりなので、ターナー公開にあわせ、観られるようになるといいなあ。

 

 

マイク・リー監督

マイク・リー監督インタビュー。BAFTAフェローシップ受賞傑作スピーチのことも聞けた。

第58回ロンドン映画祭3日目

Mr. Turner

ターナーの周りにいる女性たち、それぞれに生活感あるおばさんたちが印象に残るあたり、さすがマイク・リー監督。ジョン・ラスキンを口が達者な鼻持ちならない若造として描いてるところで、リー監督の映画評論家への思いを想像したりするのは、うがちすぎ?

ターナーはラファエロ前派を鼻で笑ってる感じだったのね。確かに、ターナーに比べたら、センチメンタルでロマンチック過ぎる技術の足りない若造たちかも。人物画はまだしも、風景画はゴッホくらい面白くないと退屈に感じてしまう私、風景ばっかのターナーも興味無しだったけど、ターナー賞とかにも名を残す偉大さがちょびっとわかった。イギリスを代表する画家なのも納得。

公式フェイスブックhttps://www.facebook.com/MrTurnerFilm

 

次はパラリンピック

オリンピックが終わって、ちょっと気が抜けた状態。

というところで、ちょうどいいタイミングのドラマを見た。パラリンピックの元をつくったルートヴィヒ・グットマンというお医者さんのお話。ドイツからイギリスに渡り、負傷兵を診るうちに、娯楽や生きがいを与えようとスポーツを始めさせたのがパラリンピックになったのだそう。エディー・マーサンがグットマン役。ロブ・ブライドンとかコメディ系の人も出てて深刻になりすぎず、ほのぼのといいドラマ。

公式サイトBBC Two – The Best of Men

そういえば、オリンピック前にもエディー・マーサンのドラマを見てた。ロンドンの1市民の1日をオリンピックに絡めて切り取ったようなマイク・リー監督のオリンピック用短編。ハッピー・ゴー・ラッキー・コンビということで期待したほどでもなかったけど、マーサンはやっぱりいい味出してた。

ベルリン映画祭中頃とブリッツその後

まずは昨日のブリッツのその後から。

アデルの受賞スピーチが途中で止められた件、ITVがアデルに謝罪したそう。再結成ブラーのデーモン・アルバーンのスピーチが長すぎて時間が押しちゃったせいとか言ってる人も。せっかくライブだから、長いスピーチもOKなようにスポーツ中継みたいな余裕を持った編成にしたらよかったのに。

とお気楽な意見を言えるのも、私はけっこう楽しめたから。コールドプレイのクリス・マーティンの演奏で歌うノエル・ギャラガーとか珍しい図も見られたし、最近のお気に入りエド・シーランも順当に受賞したし、そういうイギリス勢に混じって、リアナとかブルーノ・マーズとかアメリカの人気者も登場で満足。

それではベルリン覚書きの続き。

2月12日

Meteora試写 コンペ

子羊をしめて、ぶった切ってなべに入れ、塩やハーブやお酒を注いで煮たのを鍋ごとくるんで、修道士と修道女がピクニックで食べるシーン、ほんとうにおいしそうー。宗教と生と性あたりがテーマかと思うけど、食べるシーンに一番ひかれたのは、お腹が空いてたのかも。

Captive試写 コンペ

人質の話が、こういう落ちになるとは思わなんだ。

公式フェイスブックCaptive – Un film de Brillante Mendoza | Facebook

Nuclear Nation一般上映・質疑応答 フォーラム

入りもよく、海外でも興味もってもらえてるのが、心強い原発問題。サプライズゲストが坂本龍一で、ほんとにサプライズ。今回のベルリン、タレントキャンパスで映画音楽の指導をするというのは知ってたけど、ご登場願えるとは思わなかった。

Marley特別上映

ボブ・マーリーのドキュメンタリー。歌ってる姿だけでカリスマ感じさせる人だから、どう作っても成功しそう。

2月13日

Sister試写 コンペ スペシャル・メンション

小品ながら、グッとくる。マイク・リー審査員長が、通常スペシャル・メンションにはつかない銀熊トロフィーをあげた粋な計らいもうれしい。

Jayne Mansfield’s Car試写・会見 コンペ

映画も悪くないけど、それ以上に会見でビリー・ボブ・ソーントンが話した父親への思いに感動。

The flowers of War試写・会見 コンペ部門でのコンペ外上映

クリスチャン・ベイル、トム・クルーズの線を狙ってそうな気がした。というか、ハリウッドの模範的な受け答えって、ああいうのなんだろうか。でも、べイル、ウェールズ出身のイギリス人だけど。ウェールズ訛りでしゃべるリス・アイファンズみたいに地が出てるような方が面白い。

公式サイトThe Flowers of War

2月14日

Home for the Weekend試写 コンペ

家族崩壊みたいな暗い話だけど、父親が悪者みたいに扱われるくだりなど、リアリティがある。

TABU試写 コンペ アルフレート・バウアー賞

完成度の高さでは、コンペの中でも1,2位を争うほど。ノスタルジックなのに新しいというのはアカデミーほかで目玉となってるアーティストにも通じる。ひょっとしたら金熊とも思ったけど、上記の賞と、あと独立系の賞も獲得でダブル受賞。ミゲル・ゴメス監督は受賞スピーチや会見も面白かった。

Young Adult会見 特別上映

試写には参加できず、ロンドン戻って見ようと思ったら、もう、終わってた。ま、そのうちテレビででもやるさ。きっとジェイソン・ライトマン監督の出世作JUNOほどには、よくないだろうし。と、イソップ童話のキツネのすっぱいブドウの論理で自分をなだめる。

映画『ヤング≒アダルト』公式サイト

The Iron Lady会見 特別上映

こちらは昨年見てたので、余裕で会見のみ参加。でもアンジェリーナ・ジョリーの時と負けず劣らずの無茶込み。

映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』公式サイト||2012年3月16日(金)、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー

レンタネコ一般上映 パノラマ

やっと荻上直子作品が見られた。噂にたがわぬ面白さ。

TOP | レンタネコ

ベルリン映画祭初日と2日目

2月9日

Farewell My Queen試写・会見 コンペ

レズビアンのマリー・アントワネット。と書くと安っぽい映画と思われそうだけど、そんなことはない。きめ細かい心理描写と映像美はなかなか。

マリー・アントワネットに別れをつげてとして東京国際映画祭で上映予定(10月17日追記)

でも、この前にあった審査員会見のほうが、個人的には盛り上がった。マイク・リー監督しきるしきる。ジェイク・ジレンホールに向けられた質問にまで先に答えるしきりっぷり。好きだなあ。

2月10日

Today試写 コンペ

出だしの緊迫感がすごいだけに、尻すぼみに感じる。

公式サイトhttp://www.granitfilms.com/fr/alain-gomis/films-granit/aujourdhui

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い試写・会見 特別上映

大ベテラン、マックス・フォン・シドーが子役トーマス・ホーンを見つめる様子がラブリーだった会見。

映画は、上手く泣かせる作りだなあと思いつつも、やっぱり泣きながら見た。

公式サイトhttp://wwws.warnerbros.co.jp/extremelyloudandincrediblyclose/index.html

Coming home試写・会見 コンペ

子どものとき誘拐され、そのまま大きくなるまで監禁されていた女の子の話。犯人のその後などもオーストリアのナターシャ・カンポスの事件と似てるようだ。そのあたりで、好き嫌いが分かれそう。

マイウェイ 12,000キロの真実一般上映・質疑応答 パノラマ

オダギリジョーの力まないしゃべりが面白かった。

公式サイトhttp://myway-movie.com

決して理想を下げない女性

昨晩、BBCのTV番組にマイク・リー監督が出演。新作Another Year/アナザー・イヤー(公式サイトAnother Year – Film4)について話してた。

ロンドン映画祭の会見の際と、ほぼ同じ雰囲気で同じようなことを言ってたけど、いつもながら、あいまいにせず、しっかりとピンポイントで話すのが小気味いい。

今までの作品を振り返りつつだった。そういえばヴェラ・ドレイクHappy-Go-Luckyと女性主人公が続いてたんだ。続いてのアナザー・イヤーで結婚してる女性と、独身女性を対比させたわけだ。

どちらも仕事を持っている主人公の老夫婦、お互いの世界を尊重しつつ、あうんの呼吸で自然に寄り添っているのと対照的に、その友人の独身男女の侘しさが痛いくらいに描かれるアナザー・イヤー

定年目前で、その後の1人きりの人生がうまくプランできず、なんとかその女性とくっつこうとする、深酒になりがちなオーバーウェイト気味の男性。

その男性とくっつけば万事丸く納まりそうなところなのに、あくまで高望み(と本人は思っていない)をやめずに、無理目の相手にモーションかけ続ける女性。

そうなんだよね。女性は歳をとるにつれ、理想像のレベルが下がらないどころか、目が肥えていく分だけ上がっていったりするんだよね。女としての価値は、若くないということで下がって見られることが多いのに。ジレンマだよな。

ロンドン映画祭からのお勧め作品その2

50くらい見たと思うロンドン映画祭参加の新作の中から、よかったものをあげてみる昨日の続き。

 

傑作 Another Year/アナザー・イヤー(原題)

公式サイトAnother Year – Film4

ビートルズ派それともストーンズ派?みたいに、イギリスではローチ派それともリー派?ということも言われる2大巨匠。うーむ、どっちも好きだけど、今年の参加作2本に限っていえば、ケン・ローチ監督のRoute Irishよりマイク・リー監督のこっち。サラリとユーモラスに人生の深みを垣間見せる手際が見事。

男性なのに、いつも女性をリアルに描いてみせるリー監督だけど、この映画の初老を迎えようかという独身女性には、まいった。そうそう、女の人ってそうなんだよなーって、悲しくなるくらい。演じるレスリー・マンヴィルも助演女優賞をあげたいくらい上手い。

 

すごい新人 The Arbor/ジ・アーバー(原題)

公式サイトArtangel | Clio Barnard: The Arbor

典型的と呼びたいようなワーキングクラスの家からでて、結婚せずに最初の子を産みパブ通い、死んだのもパブという人生を歩んだ作家アンドレア・ダンバーを、新人のクライオ・バーナード監督が新しい手法で見せる。

ダンバーの家の近所らしい住宅地の野原にリビングセット置いて、そこで一家の物語が進み、それをご近所さんたちが囲んで見てたりする。それが関係者が話すドキュメンタリー部分(と見せて、役者さんだったりする部分もあり)と組み合わされると、両方のリアリティが増して見える。新しい試みをいろいろしてて、はずしてないというのが、すごい新人監督。

 

胸が痛むロストラブストーリー Blue Valentine/ブルー・ヴァレンタイン(原題)

公式サイトBLUE VALENTINE – Official Movie Website

ライアン・ゴズリングの歌とウクレレ(バンジョーかも?)にあわせて、ミシェル・ウィリアムズが路上でちょっと踊るシーンは、出会いの頃のカップルの可愛いシーン1番をあげたいくらいにいい。

そんなにいいカップルなのに、歯車がずれていく(これも生々しく描かれててグッド)のは、あまりに残念で、変わってしまった方、というか、本性(トラウマ?)が出てきた方のミシェル・ウィリアムズに腹立ちさえ覚えてしまった。これ見た人は、きっと、そりゃないぜミシェルと思うはず。

その後にインタビューしたデレク・シアンフランス監督が、映画中の結婚後のゴズリングに似てる気がした。ヘアスタイルとかヒゲとかタトゥーとか、ほぼ同じだったような。自分をモデルにした?夫に共感させるように描かれてるのはそれが理由?

でも構想から今までに結婚して子どもを持ったとは言ってたけど、離婚は言ってなかったし、両親の離婚が動機の1つとも言ってたから、お父さんがモデルで自分もお父さんに似てるだけ?いずれにしても、男性監督が男性側に有利?に作ってる気もする。でも、とってもいいラブストーリー、正確にはロストラブストーリーになるかな、だけど。


映画ニュース/インタビュー

シネマトゥデイに書いている映画ニュース/インタビューはYahoo Japanなどに配信されています。

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