Archive for the 'サイコロジカルドラマ' Category

The Eternal Daughter

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

10月5日

ティルダ・スウィントンを堪能できる映画。母と娘の二役で登場する。

母娘の旅行、訪れたホテルは、かつて母が暮らした家だ。大きな庭のある屋敷だが、母の悲しい思い出の地でもある。

老いた母と、気づかう娘の間に緊迫したものが漂う。ホテルでは、誰もいないはずの部屋から物音がしたり、ほかに客はいなそうなのに希望の部屋がとれないなど、不可解なことが起こる。

ゴーストストーリー風のサイコロジカルミステリー。とはいえ、怖さや、謎ときの面白さを追求した映画ではなく、悲しい思い出の方がメイン。

公式サイトhttps://a24films.com/films/the-eternal-daughter

ホラーとあったけど、むしろアートな映画

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

9月22日

Enys Men

イギリスの島を舞台にした謎めいた話。

歴史がある島で、日々の観察を日課にしている女性が、異変を見つける。珍しい花だけなら、気候など自然の変化と思うところだが、自分の体にも変化が現れる。

途中から、現実なのか妄想なのか判然としない映像になっていく。

面白いかどうかは人によりそうだけど、芸術的、印象的ではある。

公式サイトhttps://www.bosena.co.uk/enys-men

イギリスの上手い女優たち

第65回ロンドン映画祭  プレス試写

10月13日

The Lost Daughter

女優マギー・ジレンホールの映画監督デビュー作。

ビーチでホリデーを過ごす女性、分別があり親切でもある女性のようだが、ある若い母親と娘の姿から、過去がよみがえり…

女性を演じるオリヴィア・コールマンの上手さが際立つ。年齢を重ねた女性の落ち着きをまといつつ、ふとした瞬間にかつて何かあったことを感じさせる。

その若き日を演じるのがジェシー・バックリー。この人もこのところ興味深い映画のここぞという役にいつもいる。コールマンはオスカー獲得で、今やイギリスTVの顔から世界の顔になったが、バックリーもそれに続く勢い。

Netflix配信中

ポート・アーサー事件までの軌跡

第65回ロンドン映画祭  プレス試写

10月12日

Nitram

ちょっと癖のある顔立ちで、嫌味なお坊ちゃんみたいな役柄が多かったケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、そういうのもはまってはいたけど、これこそはまり役と思った。

大量殺人事件として知られるポート・アーサー事件の犯人マーティン・ブライアント役だ。知的障害に、メンタルな病気もあったらしい青年で、大金持ちの未亡人と知り合ってから、自暴自棄な殺人に向かうまでの過程に緊迫感がある。

面白い映画になっているけれど、こういう映画が出ると障害や病気に対する偏見が助長されることがあるので加えておくと、病気にそういう傾向があるのではなく、もともとそういう傾向があった人が、病気になることによって、行動として出やすくなるという意味のことを、精神科医の春日武彦は著書で述べている。

公式サイトhttps://www.ifcfilms.com/films/nitram

日本公開中http://www.cetera.co.jp/nitram/

トム・バークVSルース・ウィルソン

第65回ロンドン映画祭  プレス試写

10月10日

True Things

自由を感じさせる男についていったら、普通にいい加減な奴だったというお話。

予想できる展開だけど、得体の知れないトム・バークも、そんなのにフラフラついていくルース・ウィルソンも上手い。

トム・バークはこの映画祭ではThe Souvenir: Part2に続いての登場。イギリス映画にはよく出てくる、幅広い役を、危なげなく演じる上手い俳優だ。

でも、この映画ではルース・ウィルソンの方が難しそうな役。仕事にも生活にも飽き飽きしている会社員を、謎の男に夢をみてしまうのもわかる気がする具合に演じている。

公式サイトhttps://www.truethings.film/

クリステン・スチュワートがダイアナに

第65回ロンドン映画祭  プレス試写

10月7日

Spencer

クリステン・スチュワートがダイアナ妃を演じるのが面白いこの映画、ナタリー・ポートマンがジャクリーン・ケネディを演じるのが面白いJackieのパブロ・ラライン監督だった。

注目を集める人気女優が、注目を集めるアイコンを演じるダブル注目。まずは、どれだけ似ているかという興味だが、ダイアナもジャッキーもヘアスタイルが特徴的だから、それだけで誰を演じているのかはわかる。

Jackieはヘアとこれも特徴的な服装以外はそこまで似ていないと思ったが、大統領夫人にはこういう側面もあったのかという方に興味が移っていった。

今回も同様、有名なカミラとの三角関係もあり、メンタルを壊していくダイアナ、こんなふうだったのかもと思わせる。

クリステン・スチュワートは、ダイアナに似ているというより、クリステン・スチュワートとわからないくらい大きい変化なのがすごかった。

公式サイトhttps://www.spencer.film/home/

アルゼンチン映画 A Common Crime

第64回ロンドン映画祭  プレス試写

10月13日(火)

A Common Crime

ある夜、激しくドアを叩く男を無視したことから起こる物語。

無視したのは女性教師。息子と2人暮らし。通いの家政婦さんに家事、育児を手伝ってもらっている。ドアを叩いていたのは、その家政婦さんの息子。その息子が死体となって発見される。

教師が罪の意識に苛まれていくサイコロジカルドラマ、殺人事件としてのスリラー、家の外にまた男の影を見たりするちょっとホラーな要素もある。でも、一番怖いのはアルゼンチンの風土かも。

公式サイトhttps://www.pensarconlasmanos.com/uncrimencomun

主演女優に圧倒される Ema

第63回ロンドン映画祭 プレス試写

10月10日(木)

Ema

トラウマを抱えたイタい女性の物語かと思いきや!

驚きの展開なので、ストーリーにはあまり触れられないが、主人公の魅力で説得力を持たせる部分が大きい。なにしろ、男性のみならず女性まで、会う人みな落としてしまう。なんて奔放な女性と思いきや!と2度も言いたくなる、こういうことだったのかーというラスト。

主人公エマはダンサーという設定で、ダンスシーンも音楽もかっこいい。

マリアーナ・ディ・ジローラモという女優さんだそう。黒髪でタレ目のポートレートは、地味でおとなしそうにさえ見える。映画中のエマとは全然違って、さらにびっくり。

フレッシュなマリアーナとで、余計に安定感が際立つガエル・ガルシア・ベルナルが相手役。

日本ではエマ、愛の罠としてもうすぐ公開。

公式サイトhttps://www.musicboxfilms.com/film/ema/

期待のイギリス新人監督作 Make Up

第63回ロンドン映画祭 プレス試写

10月4日(金)

Make Up

この映画祭でワールドプレミアされたイギリスの新鋭クレア・オークリーの長編監督デビュー作。

寒い時期の閑散としたイギリスのビーチを舞台に、そこでバイトする若い女性、浮気しているらしいそのボーイフレンド、浮気相手かもしれないバイト先のミステリアスな先輩女性をメインに織り成されるストーリー。

ウィッグなども使い、別人のようにメイクアップするのが趣味の先輩と、その趣味に惹かれれる主人公で、単なる三角関係以上の込み入った感情が流れる。季節外れのビーチリゾートの寂しさを基調に、ちょっとミステリーめいた話も絡んでくる。

よく練られた映画で、どう転ぶかわからない展開に引き込まれる。イギリス、アイルランドではこの夏公開。

公式サイトhttps://www.makeupthefilm.com/

またまたA24の秀作 The Lighthouse

第63回ロンドン映画祭 プレス試写

10月4日(金)

The Lighthouse

孤島の灯台という、とても限られたスペースで働く男2人。

ロバート・パティンソンと、ウィレム・デフォーのほぼ2人劇。ウマが合うとは言い難い2人、何かが起きそうな予感、お互い隠し持っている秘密、白黒映像もその緊迫感を盛り上げる。

閉ざされた空間でそういう状況、正気を失ってる?という場面が混じりこみ、追っていくストーリーそのものが真実か否かというところに誘われていく面白さもある。

演技、映像、ストーリー、相乗効果でとても上手い具合にいった秀作。

公式サイトhttps://a24films.com/films/the-lighthouse

ところで、これもまたA24。オッ!という映画を何本も1つの映画祭に送り込んでるとは、やはり勢いがある会社だ。


映画ニュース/インタビュー

シネマトゥデイに書いている映画ニュース/インタビューはYahoo Japanなどに配信されています。

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