50くらい見たと思うロンドン映画祭参加の新作の中から、よかったものをあげてみる昨日の続き。
傑作 Another Year/アナザー・イヤー(原題)
公式サイトAnother Year – Film4
ビートルズ派それともストーンズ派?みたいに、イギリスではローチ派それともリー派?ということも言われる2大巨匠。うーむ、どっちも好きだけど、今年の参加作2本に限っていえば、ケン・ローチ監督のRoute Irishよりマイク・リー監督のこっち。サラリとユーモラスに人生の深みを垣間見せる手際が見事。
男性なのに、いつも女性をリアルに描いてみせるリー監督だけど、この映画の初老を迎えようかという独身女性には、まいった。そうそう、女の人ってそうなんだよなーって、悲しくなるくらい。演じるレスリー・マンヴィルも助演女優賞をあげたいくらい上手い。
すごい新人 The Arbor/ジ・アーバー(原題)
公式サイトArtangel | Clio Barnard: The Arbor
典型的と呼びたいようなワーキングクラスの家からでて、結婚せずに最初の子を産みパブ通い、死んだのもパブという人生を歩んだ作家アンドレア・ダンバーを、新人のクライオ・バーナード監督が新しい手法で見せる。
ダンバーの家の近所らしい住宅地の野原にリビングセット置いて、そこで一家の物語が進み、それをご近所さんたちが囲んで見てたりする。それが関係者が話すドキュメンタリー部分(と見せて、役者さんだったりする部分もあり)と組み合わされると、両方のリアリティが増して見える。新しい試みをいろいろしてて、はずしてないというのが、すごい新人監督。
胸が痛むロストラブストーリー Blue Valentine/ブルー・ヴァレンタイン(原題)
公式サイトBLUE VALENTINE – Official Movie Website
ライアン・ゴズリングの歌とウクレレ(バンジョーかも?)にあわせて、ミシェル・ウィリアムズが路上でちょっと踊るシーンは、出会いの頃のカップルの可愛いシーン1番をあげたいくらいにいい。
そんなにいいカップルなのに、歯車がずれていく(これも生々しく描かれててグッド)のは、あまりに残念で、変わってしまった方、というか、本性(トラウマ?)が出てきた方のミシェル・ウィリアムズに腹立ちさえ覚えてしまった。これ見た人は、きっと、そりゃないぜミシェルと思うはず。
その後にインタビューしたデレク・シアンフランス監督が、映画中の結婚後のゴズリングに似てる気がした。ヘアスタイルとかヒゲとかタトゥーとか、ほぼ同じだったような。自分をモデルにした?夫に共感させるように描かれてるのはそれが理由?
でも構想から今までに結婚して子どもを持ったとは言ってたけど、離婚は言ってなかったし、両親の離婚が動機の1つとも言ってたから、お父さんがモデルで自分もお父さんに似てるだけ?いずれにしても、男性監督が男性側に有利?に作ってる気もする。でも、とってもいいラブストーリー、正確にはロストラブストーリーになるかな、だけど。