Archive for the '俳優' Category

Empire of Light

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

10月12日

主演オリヴィア・コールマンの演技で観せるサム・メンデス監督作。

海辺の映画館で働くワケアリな女(コールマン)と新入り青年(マイケル・ウォード)に芽生える一時の恋。

コリン・ファースにトビー・ジョーンズと脇も良く、俳優陣に不足はない。でも、まあこうなるだろうという展開と、コールマンの設定がちょっと不満。病気にしない方が、境遇が際立つと思う。こういう境遇なら、病気じゃなくても、これくらいのことしでかしそう。さすがに最後まで面白く観せるけど。

脚本も書いているメンデス監督に、期待が大きい分だけ辛口評価。

公式サイトhttps://www.searchlightpictures.com/empire-of-light/

The Son

第66回ロンドン映画祭

10月11日

新しい家庭を持った父(ヒュー・ジャックマン)のもとに、母(ローラ・ダーン)と暮らしていた息子(ゼン・マクグラス)が移り住む。精神的によくない状態の息子を何とかしようという両親の計らいは、成功するのか。

誰に向けてよいのかわからない怒りを感じるが、どうしようもないことはどうしようもないのかなあ。

公式サイトhttps://www.sonyclassics.com/film/theson/

Women Talking

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

10月9日

人里離れた集落の物語。ちょっとアーミッシュ風にも見える古めかしい暮らしぶりなど、おとぎ話みたいなのに、ストーリーは生々しい。

朝、起きてみると下半身血だらけという被害が続く。薬を盛られ、襲われているらしい。これからのことを話し合う女性たちの場面が主。女性たちから信頼され書記役を務める、ある意味、名誉男性みたいな役がベン・ウィショーではまっている。

メインの女性陣も、フランシス・マクドーマンドやジェシー・バックリーといった上手い役者に、ルーニー・マーラ、クレア・フォイなど豪華。

フェミニズム、女性の人権がテーマだろうが、社会派映画みたいではなく、集落の雰囲気から独特の味わいの映画になっている。

公式サイトhttps://www.mgm.com/movies/women-talking

Bones and All

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

10月7日

ティモシー・シャラメにルカ・グァダニーノ監督とくれば、君の名前で僕を呼んで

あの名作と比べてしまうと、不満が残るかな。

こちらも悲恋は悲恋だが、その理由が人食い族だから。そこについて行けるかどうかで、評価も分かれる。

ここは素直について行きましょう。これだけ生きるのが不都合な人たちもない。だって、生きていくことすなわち犯罪行為だもの。

人食い族と書いたけど、固まって住んではいない。ぽつり、ぽつりとそこここにいる。そんな中で、お互いを見つけてしまった人食い族の女の子と男の子が恋に落ちる。甘いんだか、怖いんだか。

人を食っては、逃げて生きるしかないから、もう悲恋にしかなり得ない。

日本ではボーンズ アンド オールとして公開中。

余談ですが、骨まで愛してって歌謡曲あったな大昔。

公式サイトhttps://www.mgmstudios.com/bones-and-all/

The Eternal Daughter

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

10月5日

ティルダ・スウィントンを堪能できる映画。母と娘の二役で登場する。

母娘の旅行、訪れたホテルは、かつて母が暮らした家だ。大きな庭のある屋敷だが、母の悲しい思い出の地でもある。

老いた母と、気づかう娘の間に緊迫したものが漂う。ホテルでは、誰もいないはずの部屋から物音がしたり、ほかに客はいなそうなのに希望の部屋がとれないなど、不可解なことが起こる。

ゴーストストーリー風のサイコロジカルミステリー。とはいえ、怖さや、謎ときの面白さを追求した映画ではなく、悲しい思い出の方がメイン。

公式サイトhttps://a24films.com/films/the-eternal-daughter

クリストフ・オノレ監督の自伝的映画

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

9月29日

Winter Boy

父親を亡くした少年が主人公。

思春期の男の子なので、ヒューマンドラマというよりカミング・オブ・エイジ・ドラマかもしれない。

ジュリエット・ビノシュが演じる母も、夫を亡くした妻なのだから、悲嘆は大きいはずだが、大人だし、2人の子の母として、持ちこたえるふうだ。

独立して暮らす兄も、パリに戻れば、自分の暮らしの続きが待っている。

だが、弟はどうしていいかわからないほどのショックを受けている。とりあえず、気分転換ということか、兄についてパリに行くが、兄の同居人も絡み、思いがけない展開になっていく。

この少年がどうなるのか、見守るふうに観てしまう。クリストフ・オノレ監督の自伝的作品なのだそう。大変だったんだなあ。

オノレ監督と言えば、美しいひとをどこかの映画祭で試写した。2008か9年だと思うけど、主演が若き日のレア・セドゥだった。若い頃から、独特に美しい子だったと今になってしみじみ。

公式サイトhttp://inter.pyramidefilms.com/pyramidefilms-international-catalogue/winter-boy

のし上がっていく女

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

9月28日

Emily The Criminal

アルバイトの説明風景、倉庫みたいなところに集められた人たちがすることは渡されたカードでの買い物だという。どう考えても犯罪の予感しかしない。

そこまで聞いて、嫌なら帰っていいと言われても、残った中にエミリーがいる。ファストフードのデリバリーをしているエミリーだが、それだけでは足りないと応募した仕事がそれだった。

度胸があり、機転もきくエミリーは、もっと危険な仕事も任されるようになる。ボスみたいな男に気に入られたことと、内部抗争が、エミリーを思いがけない場所まで運んでいく。

もともと適性があったということか、慎ましく暮らしていた女性が、あれよあれよという間に立派な犯罪者、ボスの男よりも肝が座ったところを見せるあたり、小気味いいようなクライムサスペンス。

オーブリー・プラザ演じるエミリーのキャラクターにリアリティがあり、ボス役のテオ・ロッシも実際いそうな元締めで、カード犯罪はこんな人たちがこんなふうにやっているのかと思わせる。

個人的にはもっとほろ苦なラストにしてほしかったけど、ジョン・パットン・フォード監督の初長編と聞けば、立派なものと思う。

公式サイトhttps://www.emilythecriminal.com/

遺作だった

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

9月27日

Triangle of Sadness

強烈な風刺の効いたコメディ。今年のカンヌ最高賞受賞作。

2017年の同賞受賞作ザ・スクエア 思いやりの聖域を思い浮かべつつ、そういうのがカンヌ好みなのかなと思ったら、同じリューベン・オストルンド監督だった。

かなり笑えて、かなり酷い話だ。額に汗して働き暮らしを支える人がいる一方で、動画やら写真やら上げるだけで優雅な暮らしを送る人がいる現実、それが見事にひっくり返る状況、そして、絶妙なところでのラスト。

カンヌが強烈な風刺の効いたコメディ好きというより、強烈な風刺の効いたコメディを抜群な映画に仕上げる監督なのだろう。

ウディ・ハレルソンがいかにもな役で出てるのも楽しい。

群像劇なのだが、そのメインの1人、見事なビキニスタイルを披露しているチャールビ・ディーンが、この8月に亡くなっていたのを今知った。遺作だったのか。

公式サイトhttps://neonrated.com/films/triangle-of-sadness

微妙な男女を描くのが上手いミア・ハンセン=ラヴ監督作

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

9月26日

One Fine Morning

ミア・ハンセン=ラヴ監督作。

前作ベルイマン島にてもそうだったが、微妙な男女を撮るのが上手い。レア・セドゥが抗いがたいほど魅力的なシングルマザー、サンドラ役で、パートナーが居ながら惹かれてしまうクレメント(メルヴィル・プポー)やむなしと思わせる。

パートナーとの間を行き来する煮え切らないクレメントに加え、サンドラには、父親の介護問題もある。たんさん著作もある、知の人であった父親だけに、次第に呆けてくるのを見る娘としての辛さもある。

単なる三角関係の恋愛ものにせず、恋愛と同等かそれ以上に重い背景を作ったのが、効いている。

公式サイトhttps://www.sonyclassics.com/film/onefinemorning/

理不尽なロバの生

第66回ロンドン映画祭  プレス試写

9月20日

EO

イエジー・スコリモフスキ監督作。同監督のエッセンシャル・キリングをさらに理不尽にした感じ。

あちらでは、主人公のヴィンセント・ギャロが一言もしゃべらなかった。敵の中を逃亡する主人公、言葉でばれてはいけないから。

今回のは、そもそも人間の言葉はしゃべれないロバが主人公。文句も言えず、ただただ人間の都合でひどい目にあわされていく。時々赤く染まる映像もいい。


映画ニュース/インタビュー

シネマトゥデイに書いている映画ニュース/インタビューはYahoo Japanなどに配信されています。

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