Archive for the 'イギリスの政治家' Category

映画としてなら、こんなサッチャーもいいんじゃない?

昨年の試写の締めとなったマーガレット・サッチャー 鉄の女の涙が、イギリスで公開を迎えた。

メリル・ストリープにフィリダ・ロイド監督といえばマンマ・ミーア! 。あの元気いっぱいの心温まるコメディ・ミュージカル映画を作ったコンビが、こちらではしっかりした人間ドラマを見せる。実際のサッチャーがどんな人だったかは知らないけど、この映画で描かれているサッチャーはいい。イギリス発の女性首相にまで上り詰めても、町の商店の娘としての金銭感覚を失っていないところや、先立たった夫への思いが泣かせる。

サッチャーを知る人の中には、こんなじゃないとか言う人もいるようだけど、映画として見たら、ストリープの圧巻の演技力で1人の女性の半生を描いてみせた佳品と思う。イギリスでは、サッチャーへの政治的な評価がじゃまして、作品として素直に見られない人もいるんじゃなかろうかなんて、余計な心配?

ケネディ、ハリポタ、NOTW…結末それぞれ

今日で、The Kennedysが終了。前回でケネディ大統領が暗殺されて終わりかと思ったら、まだ続いた。ケネディ家の人々だから、大統領だけの話でもなかったのね。それなら、ロバート・ケネディ役バリー・ペッパー(プライベート・ライアンの狙撃兵役が印象的)もよかったし、ロバートの話がもう少し長くてもよかったのに。ちょっと食い足りない。マリリン・モンローとの話なんて、ほんのちょびっとだったし。壮大な一家の話をたった45分×8回で納めてるから無理もないけど。ケネディ家と時代をおおまかな流れで見るつもりなら、役者もそろえてるし、それなりに楽しめそう。

終了と言えば、ハリー・ポッターと死の秘宝Part2が今日から公開。MSNとYahooの映画コーナーに別メンバーのインタビュー、ロンドン発 俳優・映画情報に映画紹介が掲載されましたのでよろしく。インタビューは映画内容にふれてる部分が混じるし、映画紹介は気分がさめるかもしれない裏話つきなので、先入観なしで見たい方は映画鑑賞後にお楽しみください。

結末どころか、まだまだ拡大しそうなのがNOTW事件。ニュース・オブ・ザ・ワールド紙だけでなく、ルパート・マードック傘下の別紙でも同様の盗聴疑惑。ジュード・ロウがザ・サン紙を訴えるとか、アメリカでも9.11事件の被害者を盗聴してたとか、広がる一方。有名人の盗聴では数年前から騒がれてたのが、殺害されたミリー・ダウラーの盗聴もしてたということで、一気に新聞廃刊になったと思ったら、ここにきてゴードン・ブラウンとかウルリカ・ジョンソンとか被害者だという人が続々登場してきた。今更という気がしないでもない。

パーフェクト・デイ

ちょこちょこ別のチャンネル見たりもしつつ、最後まで見てしまったチルドレン・イン・ニード。と言っても、番組自体24時間とかではなく、夜7時から夜中の2時まで途中ニュースが入ったりしながらの約7時間。

過去の名場面集が面白かった。その中にルー・リードのパーフェクト・デイが。1972年にリードがヴェルヴェット・アンダーグラウンドとしてデヴィッド・ボウイのプロデュースで出して、それを1997年に自分以外にもボウイとかボノとかたくさんで歌ってるのがチルドレン・イン・ニード用。

あれっ?今年はスーザン・ボイルが歌ってたぞ。リードから許可が下りなかったとか読んだ気が…。調べたら、イギリスではOKでもアメリカで歌うことが法的にクリアになってなかったということらしく、リード自身は許可しただけでなく、ビデオにも協力してるんだそう。なーんだ。

ポール・マッカートニーとかリリー・アレンとかも出てた去年や、物真似芸人がトニー・ブレアやってるときに本人が出てきた何年か前のもリアルタイムで見てたけど、比べると今年は小粒だった気がする。一番の目玉がロビー・ウィリアムズが戻ってきたテイク・ザットだもん。イギリス的には、大きいのかもしれないけど。

イエイ、得しちゃったーかな?

ロンドン映画祭、一般上映2本とトークショー

Route Irish/ルート・アイリッシュ(原題)

友人の戦死からアフガニスタンでのひどい出来事をあばこうとする男の物語。悪くないが、ケン・ローチ監督新作ということで期待したほどでもない。昨年のレバノンみたいに体験者しか知りえないリアルさで見せたり、マイ・ブラザーみたいに家族の物語とオーバーラップしたりとか、なんかないと、戦場でどんな不正があっても、それだけでは今更驚かない。ドキュメンタリーなら、それもありだけど。すれっからしになってるんだろうか。


オリヴィエ・アサヤス・トーク

Carlosの監督。飛行機の遅れで、開始が30分遅れた短縮版となる。おかげで、トーク会場の全員にCarlosDVDがプレゼントされることに!イエイ!見逃してたから助かった。後から送ってよこすというのがちょっと不安だけど。


Mandelson: The Real PM?/マンデルソン:ザ・リアルPM?(原題)

大臣など歴任したピーター・マンデルソンのドキュメンタリー。Q&Aに本人も登場。さすがに受け答えがシャープ。

マイケル・シーン3度目のトニー・ブレア

昨晩、BBCで『The Special Relationship』を見た。(日本ではDVD発売されるようです。)

トニー・ブレア対ゴードン・ブラウンの『The Deal』(チャンネル4放映ドラマ)、『クイーン』に続き、マイケル・シーンが3度目のブレア役。脚本もその2作と同じピーター・モーガンだ。

今回はブレアとビル・クリントンのお話。若き新首相として上り坂のブレアと、モニカ・ルウィンスキーのスキャンダルから下り坂のクリントンとで、わかりやすい栄枯盛衰。クリントンに引き立ててもらってるふうだったブレアが、コソボでの対処では、ブレアが大統領ならよかったのに、とまで米マスコミに持ち上げられる。

思えばフロスト×ニクソンもシーン主演でモーガンが脚本。キャラクターを対比で見せるのは得意技らしい。ブレアと誰かシリーズも、まだいけそう。内幕本を書いた元報道担当補佐官のアリスター・キャンベルとブレアの関係も面白そうだし、クリントンときたら順当にブッシュなら、今回のドラマともつながる。シーン4度目のブレア、あるんじゃないかな。キャラが立ってる政治家が多いから、ドラマも作りやすそう。

公式サイトHBO: The Special Relationship: Home

カリスマ?

レインダンス映画祭のラインアップも発表された。

活きのいいインディペンデント映画が見られるのも、関係者の話が聞けるのも楽しみだ。

そういえば、自伝出版以来、ちょこちょこTV出演しているトニー・ブレア元首相を見ていて、会見やインタビューの時によく思うことが浮かんだ。

話の内容だけなら、監督や脚本家の方が興味深いこともあるのだが、パッと引きつけるのは役者さんであることが多い。何が違う?

話の内容ではないとしたら、やっぱり見た目、顔の造作の良し悪しかというと、必ずしもそうでもない。美男や美女でも、あまり引きつけない人もいる。

BBCのトニー・ブレア・インタビューは、面白かった。

戦没者に対しての気持ちを聞かれると「それにSorry(気の毒とか可哀想とかいう意味と思います)を感じないような人間がいるか?」と相手(ジャーナリストのアンドリュー・マー)の目を見て、たたみかけるように言う。

だが、本を出すのは、Sorryではなく、その人たちの「Honorのため」と言い、「自分の立場で後悔していると言うことは許されない」 みたいなことを強い口調で言ってた。(うろ覚え、かつ、自己流訳です。lost in translationもあるかと思いますので、ご興味のある方はBBCのサイトやYOUTUBEなどでご確認を。)

Sorryには、いろいろな意味があるんだなあ。

参戦が今となっては非難ごうごうのブレアが、ひさしぶりに、たっぷり語ったインタビューだったが、予想したより反応がよかったのは、内面の苦悩やら逡巡やらが伝わったせいもありそうだ。

役者にしろ、ブレアにしろ、感情を言葉に乗っけるのが上手いのだと思う。

それも自分の中から、共感を呼ぶような感情を取り出して、増幅して伝えるというようなことを、ブレアは、自然に(と見える)出来る人じゃないかと思った。しゃべっているのを聞くと寝てしまいそうになるゴードン・ブラウンとは対照的だ。

それをカリスマと呼ぶのか、人心掌握術と言うのか、もっと軽く、チャームで済ませていいのかはわからないが、ともかくも、政治家と役者で成功するポイントの1つにはなりそう。


映画ニュース/インタビュー

シネマトゥデイに書いている映画ニュース/インタビューはYahoo Japanなどに配信されています。

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