第66回ロンドン映画祭 プレス試写
9月22日
All That Breathes
動物を撮っているけど、よくBBCやNHKで放映されているような、自然の美しさに息を吞むタイプのドキュメンタリーではない。
灰色の空から落ちてくる鳥に、夜の湿った暗い路地に散らばるゴミに集まってくるネズミと、インド、デリーの汚れた空と土地に生きる動物だ。
それだけに、そこで自主的に鳥を診る3人組が心を打つ。少年の頃、落ちてきた鳶を獣医まで運んだ兄弟は、その鳥は肉食だからと断られる。宗教的な理由のようだ。独学で鳥の治療を学んだ兄弟にもう1人が加わった3人が、ガレージの地下を治療所として、主には傷ついた鳶を運び込んでは、治療を施していく。
劣悪な環境のなかで鳶を慈しむ3人、だが、公害もひどいが、治安も悪いデリー、治療所のある通りにまで暴動が迫ってくる。
環境問題、社会問題まで含みつつ、3人の人柄がにじむ人物ドキュメンタリーにもなっている。
既に複数受賞しているドキュメンタリー賞を、ロンドン映画祭でまた1つ増やした。