2017年ヴェネチア国際映画祭審査員賞受賞作。同年のロンドン映画祭で見逃し、翌年イギリス公開されてたのを、一昨日の夜、テレビの映画専門チャンネルFilm4で観られた。
オーストラリアで、アボリジニが奴隷のような扱いを受けていた時代のお話。1920年代、荒れた土地で、馬にまたがりカウボーイハットをかぶる人々というウェスタンだ。
アボリジニを使用人として置いている家々と、そのアボリジニを借りては、痛めつける白人男性ハリーが描かれる冒頭30分で、無駄なく、時代と各キャラクターの性格をわからせる。
逃れたアボリジニの少年を追い、逆上して銃を撃ちながら迫ってくるハリーを、撃ち殺してしまうアボリジニ男性サム。サムも妻ともども、かつてハリーの家で酷い仕打ちを受けている。どこからどう見ても正当防衛だが、それが通用するかは疑問だ。以下、妻とともに逃げるサムと捕らえようとする町の白人男性たちの追跡劇になる。
映画が始まってすぐから、白人殺しを問われるサムの姿など、キーとなる場面がフラッシュで差し挟まれ、これから起こることを予測させて、興味を掻き立てる。それに十分応える結末をいったん与えたあと、さらに、もうひとひねりで突き落とす。
サムを演じたハミルトン・モリスが味わい深い。サムを信頼する雇い主役のサム・ニールなど脇もいい。