2011年10月 のアーカイブ

ロンドン映画祭終了、アフタヌーンティー

一昨日はロンドン映画祭最終日

The Deep Blue Sea 試写 会見

Of Time and the Cityみたいなドキュメンタリーでさえ、画面にものすごく情緒を盛り込んで見せるテレンス・デイヴィス監督の技が炸裂。パイロットのもとに走るも…となる良家の夫人を演じるレイチェル・ワイズ、相手役トム・ヒドルストンも名演。ヒドルストン、馴染みがないように思って調べたら、BBCドラマMiss Austen Regretsに出てた人だったけど思い出せない。こういうおとなしめの美男美女は、見逃してることが多いな。私にとっての死角かも。

マイ・バック・ページ 一般上映

ニセモノなんだか本物になるんだかわからないような自称運動家を演じる松山ケンイチが、周りの人たちに信じ込ませるカリスマと、うさんくささの両方を醸し出してるのがすごい。これを見ただけでも、この人が評価されるの納得。昨年も出演作が2本参加してたのに見られずじまいで、初松ケン。見られてよかった。

Footnote 一般上映

父の息子へのライバル心をコメディタッチで描いてる。いい具合に滑り出す、出だしが上手い。

公式サイトFOOTNOTE

Into the Abyss 一般上映

別の会見と重なり涙をのんでパスした試写、チケットが取れなかった一般上映ときて、今回のドキュメンタリー賞受賞で再上映となって、ようやく見られたヘルツォーク新作。死刑囚と関係者へのインタビューを中心に、死刑制度を考えさせるような作りになってる。こういう重いテーマを、大仰にせず、かと言って浅くなく、過不足ない加減で撮れるのは、さすが。

 

昨日は、取材でアフタヌーンティー発祥の地へ。2種アフタヌーンティーを試食し、お腹いっぱいで、広大なお屋敷をガイドしてもらううちに、気持悪くなりかけたとこで終了、セーフ、冷や汗。やっぱりアフタヌーンティーは、ゆっくり時間かけて優雅にいただくものと再認識。

掘り出し物のウェルシュ学園もので期待の新人

ロンドン映画祭

Hunky Dory  試写

ミニー・ドライバー演じる女性教師がミュージカルに情熱を傾ける、と言うと、最近ありがちなものと思われそうだけど、これが掘り出し物。いきなり歌いだしたりするミュージカルではないのでご安心を。

あくまで学校行事としてのミュージカルで、そのシーンでの歌もなかなか聞かせるけど、あとは普通にウェールズ訛りでしゃべる。70年代のウェールズの学校が舞台というのが、ローカルな暖かさと、デヴィッド・ボウイとかをシェイクスピアに取り込む時代感覚になっていて、懐かしくもフレッシュ。

生徒の方の主役が美形だし歌も演技も上手くて要注目。舞台でローレンス・オリビエ・アワーズも受賞してて、ヴォーグ誌のモデルも務めてるアノイリン・バーナードという24才の青年だそうな。そりゃ、上手くてきれいなわけだ。

監督が去年のロンドン映画祭にもPatagoniaで参加のマーク・エヴァンス。学園ミュージカル?とパスしそうになったけど、監督の名前見て、思いとどまって正解だった。細かいエピソードを効かせて、ほのぼの仕上げるのがエヴァンス監督得意技とみた。

When the Night 一般上映

育児疲れからの児童虐待が疑われる美人ママと、それに気づく人間嫌いみたいな男。最初の緊迫した感じが良いだけに、後半、美人ママと男の一大ロマンスに展開してしまう、怒涛のメロドラマな成り行きに腰砕け。もうちょっと抑えたら、けっこういい映画になったかもしれない。惜しい。イタリア映画だけど、ママと男の両方とも、のっけからセクシーな雰囲気漂わせてるのが、さすがラテン。

美人母娘に美青年

ロンドン映画祭

Anonymous(邦題 作者不詳) 試写 会見

シェイクスピアは誰だったのかという謎にエリザベス一世の秘密も絡む。歴史的に正しくないとかいう議論もあるようだけど、最初からエンターティメントとして見たらいいのに。荒唐無稽作品が得意なローランド・エメリッヒ監督だしね。

会見は主演のリス・アイファンズはじめ、ヴァネッサ・レッドグレイブ、デヴィッド・シューリスほか俳優陣もズラリ。このところテレビドラマのキャメロットとか、見る機会が多かったジェイミー・キャンベル・バウワーも拝めた。実物もきれい。ウェールズ訛りでしゃべるアイファンズや、シューリスのヨレッとした感じも味わい深いけど。

きれいと言えば、レッドグレイブ、70過ぎて皺もあるけど、きれい。顔の骨組みが、もう、しっかりと美人なんだろうな。その若き日を演じる実の娘のジョエリー・リチャードソンも、さすがにきれい。俳優陣はもう1人レイフ・スポールもいた。この人、お初かと思ったら、ホットファズとかショーン・オブ・ザ・デッドとかエドガー・ライト作品で見てた。作者不詳の中でも、調子いいコミカルな感じの役。

公式サイトAnonymous: Official Site

こんなもんかマドンナ、クローネンバーグ新作

ロンドン映画祭

A Dangerous Method  試写 会見

今回の映画祭でマイケル・ファスべンダー2度目の会見登場。ジョージ・クルーニーと対だ。デヴィッド・クローネンバーグの新作で、メインキャストにはヴィゴ・モーテンセンとキーラ・ナイトレイもいるという豪華版。

ユング演じてるファスべンダーが主役。そのユングとややこしいことになる患者がナイトレイ。同じくややこしい関係のフロイトがモーテンセン。でも、本物の顔立ちは、細面のファスべンダーが、どちらかというとフロイト似だけど。そういえばこの夏、フロイトの孫の画家ルシアン・フロイドが亡くなった。でも、フロイトとフロイドなのね。実は亡くなったというニュースで初めてフロイトの孫だったことを知った。ドイツ語発音と、英語発音の違い?

映画に戻ると、ユングとフロイトの確執の話としても、クローネンバーグ映画としても、ちょっと物足りない。同じファスべンダー主演なら、こないだのShameのほうがお勧め。でもファスべンダー、スティーヴ・マックイーン監督コンビならハンガーの方がいい。日本でもファスベンダー主演作が続く勢いで公開されたらいいな。(* ShameSHAME −シェイム−として2012年3月10日公開予定 12月15日追記)

公式サイトA DANGEROUS METHOD | a film by David Cronenberg

*2012年10月27日より危険なメソッドとして公開決定。(2012年7月2日追記)

W.E. 一般上映

こちらはマドンナ監督作。リリース前に再編集予定とかいう噂も聞こえてきてたけど、やはり、そういう出来。

どうしてマドンナがウォリス・シンプソン夫人の映画を撮りたいと思ったのかをメインテーマに、マドンナ本人を中心に据えたメーキングドキュメンタリーでも撮ったほうが面白いのに。と、本人の方に注目がいってしまうことが、シンプソン夫人にマドンナが共感する理由?

当然、英国王室の面々も登場するけど、英国王のスピーチで描かれてるのとは大違い。まぬけそうなジョージ6世と、性格悪そうな王妃になってた。エドワード8世の側から描いてるから、しょうがないけど。

ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋として2012年11月3日より公開。(2012年11月4日追記)

悲劇と喜劇

昨日のロンドン映画祭

Trishna 試写 会見

悲劇的な状況になだれ込んでいくトリシュナをフリーダ・ピントが演じる。一度、契りあった人にずっとついていってしまうことで一番酷い結果に向かう。もっと前に見切りつけて、再出発という選択ができない不幸。イギリスや日本なら考えられないけど、インドの女性なら有り得るのかも。

こういう薄幸な主人公にピッタリのフリーダ。マイケル・ウィンターボトム監督には、いい作品もあるけど、無理やりな話になってるのもある。これは無理やりそうで、インド、フリーダでセーフか。相手役のリズ・アーメッドも、このところコンスタントに映画祭で見てる気がする。

公式フェイスブックTrishna | Facebook

Carnage 一般上映

ロマン・ポランスキー監督のコメディ。ジョディ・フォスター、ジョン・C・ライリーと、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツの二組の夫婦が子どものけんかに端を発して争う。室内で、言い争ってる場面が続くだけで面白く見せるのはさすがポランスキー監督に芸達者な俳優陣。

最初、夫婦対抗だったのが、途中、夫組対妻組に移り変わったりするのも、上手い。吐くわ、酔っ払うわでも、きれいだし、色っぽかったりするウィンスレットに対し、スジたてて怒鳴るフォスターは、時々、美人女優とは呼びがたい凄い顔になる。役柄もウィンスレットはファッションもキチッときめてる仕事を持つ妻で、フォスターは主義主張の強い妻になってるせいもあるけど。

ライリーは今回のロンドン映画祭で、これが3本目。映画の雰囲気はそれぞれ全く違うのに、役のキャラクターに大きな違いがないのは、たいしたものだ。鉄板人情味役者。

公式サイトCarnage || A Sony Pictures Classics Release

おとなのけんかとして2012年2月18日公開となるようです。(2012年1月17日追記)

クルーニー連続登場

ロンドン映画祭

The Descendants 試写 会見

昨日に引き続きジョージ・クルーニー登場。こちらは主演のみで、監督はアレクサンダー・ぺイン。昨日の映画のほうが、大統領選挙に挑む候補役ということで、政治状況と絡めて話題性も高いけど、今日のも悪くない。クルーニーはまぬけなとこのあるコミカルな役のほうがいいから、その意味では、こっちの方が演技は楽しめた。妻に浮気されてた夫役で、その浮気相手との対峙シーンなど笑わせる。この人は面白いことパッと言ったり、表情作って見せたり、会見栄えもする人だ。

一昨年のロンドン映画祭でも、確かクルーニー2連続会見登場、3作品参加だった。監督作をクロージング上映してもらった映画祭ということで、縁が深いのかな。

ファミリー・ツリーとして2012年4月公開決定のようです。(2012年1月16日追記)

The Exchange  一般上映 Q&A

大学で教えてる、まだ若い先生が、日常を逸脱していくのが描かれる。エラン・コリリン監督は、子どもに戻ると表現してたけど、大人として、社会人として、ちゃんとやってくのがバカバカしくなるようなことって、誰にでもある感覚と思う。その感じが、上手く表されてた。

小さい映画と大きい映画

ロンドン映画祭

Terri 試写

ほのかに可笑しく、優しい映画。この感じ、好きだなあ。この監督の前作Momma’s Manというのを見て、気に入ったのもそこだった。低予算映画で、誰一人知ってる人が出ていなかったにも関わらず、じんわり、いいもの見たなあと、しばらくうれしかった。今度のも、小さい映画には違いないけど、個性派名脇役ジョン・C・ライリーが出てるから、もっと売れそう。ジョン・C・ライリー、一昨日のWe Need to Talk About Kevinにも出てたし、ほかにも今回の映画祭に参加してる映画があったはず。隠れた超売れっ子かも。

公式サイト“TERRI” A film starring John C. Reilly and Jacob Wysocki. Directed by Azazel Jacobs.

The Ides of March 試写 会見

こちらはジョージ・クルーニー出演、監督作。さすがに役者も揃えて、面白く見せるけど、意外にあっさり終わる。ちょっと肩透かし。余韻があって大人っぽい終わり方なんだろうか。

* スーパー・チューズデー ~正義を売った日として2012年3月31日より公開決定のようです。(12月30日追記)

映画的楽しさと実話的暗さ

ロンドン映画祭

The Artist 試写

むっちゃ、よく出来た映画。サイレント映画のスターがトーキーの時代に移り変わって落ちぶれていくのと、そのスターに見出された女優がトーキーの新スターになっていくのが白黒サイレントで描かれる。基本サイレントだけど、ちょっと音が入るシーンが、すごく効いてる。ノスタルジックなのは、もちろん、ちゃんと面白いのがえらい。しゃれた映画つくるもんだなあーと感心してたら、やはりフランス映画。

アーティストとして2012年4月7日公開となるようです。(2012年1月16日追記)

Snowtown 一般上映

これでもかというくらい念の入った酷い話なのに、その念の入り具合が逆にリアリティを感じさせて、実話が基かもと思いつつ見たら、やっぱりだった。兄弟揃って性的虐待された子供たちの一家が、マゾヒスト的な連続殺人犯のアジトにされて、一味にされてしまう。普通の人たちが犯罪に手を染めてしまう流れの説得力は実話ならでは。イギリス映画も暗いの得意だけど、コッテリとした暗さがあるこちらはオーストラリア映画。

公式サイトSnowtown

Where Do We Go Now?  一般上映

子を亡くした母の悲痛と、村の初テレビに人が集まるようなコミカルさのバランスが絶妙。喪服の女たちが、軽く踊りながら、乾いた土地を行進する出だしは、引きつけるし、どんな映画なのかも、しっかり表してる。歌って踊る、紛争地の女たち。ウーマンパワーが、ウーマンリブ的ヒステリーなしにカラリと描かれていて、気持ちいい。こっちはレバノン、フランス、イタリア、エジプト合作。

今日は笑い声もたくさん上がった映画的な仕掛けが楽しい映画に、途中退席者が出たくらい惨い実話映画がサンドされた濃い日となった。

サイコパスな若手と賢者みたいな監督

ロンドン映画祭

We Need to Talk About Kevin 試写 会見

サイコパスな子を持った母のお話。母役ティルダ・スウィントンもいつにもまして体重落としてて怖いくらいだけど、子のエズラ・ミラーがやっぱり怖い。Afterschool でもサイコパスになりそうな中学生くらいの男の子役だった。あの子が育ってこうなったのねーなんて混同しそうにイメージ近い役。このままサイコパス役者として進むんだろうか。会見でしゃべってるとこは普通の若者だったので安心。

* 少年は残酷な弓を射るとして日本では6月公開となるようです。(11月25日追記)

クレイジー・ホース 一般上映 監督Q&A

フランスのヌードショーの店のドキュメンタリー。世界一のヌードショーというのも、誇大広告じゃないかも。鏡や照明でヌードが万華鏡みたいに見えたりする。ぷりぷりするお尻の踊りでクレヨンしんちゃん思い出しちゃった。そういえばあの漫画家さん、亡くなったんだったなあ…

登場したフレデリック・ワイズマン監督、ホビットの賢人みたいだった。いえ、ワイズマンにかけてるわけじゃなく…そのままロード・オブ・ザ・リングに出演してほしいルックス。

日本でも東京国際映画祭上映に、一般公開も決まったもよう。湿った感じがないから意外にHじゃない、すごく綺麗なヌードの数々も見られます。

ハゲマッチョな1日

ロンドン映画祭開催後初の日曜に試写、会見があったCoriolanus

ベルリン映画祭でも見たレイフ・ファインズの初監督作。何故に、現代の戦場で、ナイフで1対1で戦う?何故に、そこまでクドクド独白する?などなど、前回には引っかかってしまって、乗れなかったのが少し薄れて、今回は、もうちょっと面白く感じた。様々な何故?の答えは、シェイクスピア劇だから、ということでスルーしなくてはいけないという鑑賞態度が身についたようだ。

その後、一般上映でRampartを見る。

実際に事件になった悪徳警官をウディ・ハレルソンが演じる。はまり役。

ウディ・ハレルソン・トーク・ショー

これは映画の後にくっついてあるのではなく独立したプログラム。ロンドン映画祭好例の役者のこれまでの代表作のクリップ見せながら、映画評論家とかが話を聞き出す対談形式のショー。

というわけで、1日中ハゲマッチョを見てる日になった。実物と役と変わらないハレルソンはともかく、ファインズは頭そってムキムキなのは映画中だけで、会見では長髪に髭で少し細くもなってたけど。今、テンペストの舞台やってるけど、それって長髪と髭だったのね。


映画ニュース/インタビュー

シネマトゥデイに書いている映画ニュース/インタビューはYahoo Japanなどに配信されています。

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